※今年は新型コロナウィルス感染症の影響により、斎行の方法などが例年と変わる場合があります。詳しくは各神社へお尋ねされ御確認下さい。
多くの神社では6月30日と12月31日に大祓という神事が行われています。大祓は1年を2期に分け、半年の間に知らず知らずに犯した罪、積もり積もった心身の穢れ、一切の災いを消滅し、清浄な本来の姿を取り戻すための祭祀です。またこれから犯すであろう罪などを除去する意味もあります。この神事によって平穏無事な生活を願うのです。
日頃の祭典でも、必ず修祓があります。お祓いによって罪穢れを取り除き、清らかな姿となって神さまと対面します。大祓は、お祓い自体が独立した祭祀となって執り行われるのです。
大祓では、神職が古くから伝わる大祓詞を奏上し、氏子崇敬者は麻と紙を小さく切った切麻を体にまいて清め、白紙を人の形に切った「人形」で体をなで、息を吹きかけます。こうして人の罪穢れを付着させた人形は、後で海や川に流したり、お焚き上げをします。
人形は「形代」や「撫物」とも呼ばれます。人形に姓名と年齢を書き、息を吹きかけて神社に持って行き、お祓いをする神社もあります。
6月の大祓は「夏越の祓」「名越の祓」「六月祓」などと云い、12月の大祓は「年越の祓」や「師走の祓」とも呼ばれます。
参道に茅を束ねて輪の形に作った「茅の輪」を設ける神社もあります。「茅の輪くぐり」といって、茅の輪を3回くぐって穢れや災い、罪を祓い清めるのです。これは「茅の輪」を腰に着けると疫病から免れると教えた「備後国風土記」逸文の武塔神の故事に由来するといわれています。
大祓は「古事記」「日本書紀」に見られる伊邪那岐命の禊祓を起源とし宮中においても古くから行われてきました。国中の罪穢れを祓い清め厄災のない社会を祈念して行われたのです。そうした伝統を受けて、大祓は多くの神社の年中行事として恒例化されています。